こんにちは、ボイストレーナー・ボーカルコーチのコエです。
これまでに初心者からプロまで𝟒𝟎𝟎名以上の方のレッスンを担当してきました。私のプロフィールはこちらからどうぞ♩
「タングトリルができない・続かない」とお困りの方必見!
こちらの記事ではボイストレーニングの基礎でもある、タングトリルについて解説します。
・タングトリルの練習方法とコツ
・できない・続かない場合の原因と確認項目
・まったくできない場合におすすめのエクササイズ
タングトリルのメリットや練習方法を理解し、トレーニングの時間をより有意義なものにしてくださいね!
タングトリルとは
タングトリルとは、上顎に舌をつけて息を吐き、舌先を震わせるトレーニングです。
メリットが多く、様々な効果を得られるため、初心者だけではなくプロも活用するポピュラーなボイストレーニングの一つです。
また、タングトリルはウォーミングアップや歌のテクニックとして使うこともできます。
どこでも気軽に出来るため、本番前に舞台裏で行えば、喉や体の調整をすることも可能です♩
タングトリルの4つのメリット
タングトリルを練習することには、次のようなメリットがあります。
喉が開くようになる
タングトリルは呼気(吐く息)で、舌を震わせるトレーニングです。
喉が狭くなっている場合には、息・声は通りづらくなり、舌の振動は難しくなります。
舌を息で振動させる過程で、喉を開き歌う力が身につきます。
喉が開くようになると、声の響きが良くなり、歌いやすくなります♩
滑舌が良くなる
私たちは、喉の奥、唇の形、舌の位置の動きを変えることにより、さまざまな発音で話したり歌うことができています。
タングトリルには、舌の筋力や柔軟性を高める効果があります。
舌が柔軟に動かせるようになることで、滑舌は良くなります。
リラックスできる
タングトリルには、呼吸を安定させる効果があります。
安定した呼吸・深い呼吸になることで体はリラックスします。
また、タングトリルをすると、舌や喉周りの筋肉が温まり、血流も良くなります。
ウォーミングアップとして取り入れると、声はコントロールしやすくなります。
緊張で体がこわばっている時にもおすすめです♩
歌のテクニックとして活用できる
タングトリルと巻き舌のときの、舌の動きは同じです。
巻き舌は外国語(イタリア語など)を発音するときに使いますが、歌の表現としても活用できます。
例えばJ-POPですと、椎名林檎さん、Adoさんなどの曲を聴くと、巻き舌で歌われている部分があることがわかると思います。
巻き舌を取り入れることで、歌詞にインパクトを与えたり、フレーズに勢いをつけることができます♩
タングトリルで舌を自由にコントロールできるようになれば、曲の中の好きなタイミングで巻き舌を取り入れた表現をすることが可能になります。
タングトリルの練習方法(音源付き)
次の①〜③のステップでコツを掴み、④⑤で練習してみましょう。
ぜひ音源にあわせてやってみてくださいね。
ステップ1:舌を上顎につける
口を少しだけ開き、体の力は抜きます。
舌先は上顎に軽くつけます。
ステップ2:息を吐く
深く息を吸って吐き、上顎と舌先が触れあっている部分に息を当てます。
息の強さは、均一に吐きましょう♩
ステップ3:声をのせる
舌を振動させながら声を出します。
色々な高さの声を出し、一番自然に声が出せる高さで、タングトリルの感覚を掴みます。
舌を振動させながら声を出すことに慣れてきたら、同じ高さをキープして長さを徐々に伸ばしていきましょう。
ステップ4:グリスアップ・グリスダウン
グリスアップ・ダウンとは発声可能な最低音〜最高音までを滑らかに繋ぎ、発声するトレーニング方法です。
タングトリルでグリスアップ・ダウンをします。
①グリスアップの例
②グリスダウンの例
※音域は個人差があるため、音源と全く同じ高さじゃなくても大丈夫です。
換声点(地声と裏声が切り替わるポイント)を滑らかに繋げることを意識してみましょう。
ステップ5:5トーンスケールを歌う
5トーンスケールとは、5つの音(5トーン)を使った、音の階段(スケール)のことです。
スケール練習をすると、正しい音程で歌う力が身につき、音感がよくなります。
※音源の音域はA3〜A4、メジャーキーです。
テンポを変えたい場合には、右端の三つに並んだ点々を押して、再生速度を変えてくださいね◎
できない・続かない場合の原因と確認したいこと
タングトリルができない、続かない場合に、確認していただきたいことは以下の通りです。
舌位を確認する
「ら」のポジション
舌先は「ら行」を発音するときと同じポジションに置きます。
舌の長さで多少の個人差はありますが、「ら行」のときは、舌先を上の歯茎の上あたりに軽く付けます。
舌に力みがある
力みがあると、舌はうまく振動しません。
舌先は上顎につけますが、ピターと力を入れてくっつけすぎないように、気をつけましょう。
息を吐いたときに、息の圧で舌と上顎が少しだけ離れてしまうくらいの強さで、そっと置く程度にしてくださいね♩
息が適切に吐けていない
吐く息が弱いと舌は震えません。
舌が上手く震えない場合には、お腹から息をしっかり吐けているか確認しましょう◎
また、逆に吐く息が強すぎると均一な量で息を吐きづづけることが難しく、振動時間が短くなるケースもあります。
舌を長く振動させられる、適切な息の強さを探ってみましょう。
呼吸がうまくできていないと感じる方は、腹式呼吸を確認した後に、タングトリルをお試しください。
腹式呼吸のやり方
①おへそ3本指下くらいにある丹田を意識しながら「スー」と息を吐き、お腹がゆっくり萎んでいくのを感じます。
②息を吐き切ったら息を吸います。お腹がゆっくり膨らんでいくのを感じます。
③自然な呼吸になるまで、何度か繰り返します。
腹式呼吸には、体全体をリラックスさせる効果もあります。
全く舌が震えない場合のエクササイズ
「できない・続かない場合の原因と確認したいこと」を試したが、やはり舌が振動しないという方に向けて、タングトリルをやりやすくするためのエクササイズをご紹介します。
ぜひお試しください。
ら行の単語
舌先を柔軟に動かす練習になります。
・「とろろ」×5回
・「札幌らーめん」×5回
最初はゆっくりのテンポで丁寧に。慣れてきたら早く言えるようにしていきます。
とぅら・とぅり・とぅる・とぅれ・とぅろ
①と同じく舌先を柔軟に早く動かす練習です。
「とぅら・とぅり・とぅる・とぅれ・とぅろ」を発音するときの、息で舌を弾く感覚はタングトリルに近いです。
繰り返し練習して、舌先の感覚(力の抜き方)を掴みましょう♩
舌回し体操
舌そのものの筋力・柔軟力を上げるためのエクササイズです。
①唇を閉じます。
②舌先を唇と歯の間に入れて、歯茎をなぞるように、時計まわりに大きく5周まわします。
③逆まわしもします。
舌回し体操には咀嚼能力を高める効果や、虫歯予防・二重顎改善・ほうれい線予防にも良いと言われています◎
舌トレは他にもあるので、こちらの記事を参考にしてくださいね◎
私が感じたタングトリルの効果
ここまでタングトリルについて解説してきましたが、やはり難しくてできない・効果がわからないという方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな方々にぜひ聞いてほしいお話があります。
実は私は昔、英語の曲を歌うことが大の苦手で1フレーズを普通に歌えるようにするだけでも、すごーく時間がかかっていました。※英語と日本語の発音では、舌の動き、喉の奥の空間、息の吐き方が異なります。
音楽学校時代、課題曲は基本的に洋楽だったのですが、曲を覚えることだけでも数日がかり。周りより成長の速度もかなり遅く、悩んでいました。
しかしボイトレを学び、当時はあまり得意でなかったタングトリルを練習に取り入れてからは、英語の歌詞が体に馴染むスピードが確実に上がりました。
がむしゃらに歌うことだけに、練習時間を費やしていた自分に教えてあげたい!(涙)
今すぐに舌が震えなくとも、そのトレーニングやアプローチは必ずどこかで活きてきます。
挫けず諦めずコツコツと練習を続けてみてくださいね♩
・・・と、タングトリルの素晴らしさについてお伝えしましたが、できない場合にも過度に落ち込む必要はありません。
タングトリルのほかにもあなたの課題や目標を達成するためのアプローチはたくさんあるからです。