こんにちは、ボイストレーナー・ボーカルコーチのコエです!
これまでに、初心者からプロまで𝟒𝟎𝟎名以上の方のレッスンを担当してきました。私のプロフィールはこちらからどうぞ♩
「リップロールが上手くできない・続かない」とお困りの方必見!
こちらの記事ではボイストレーニングの基礎でもある、リップロールについて解説します。
・リップロールの練習方法
・リップロールができない・続かない原因と改善策
・リップロールが全くできない場合のコツ
リップロールの効果や練習方法を知り、トレーニングの時間をより有意義なものにしてくださいね。
リップロールとは
リップロールとは軽く閉じた唇に、息を当てることで、唇を震わせるトレーニングです。
メリットが多く様々な効果を得られるため、初心者だけではなくプロも活用するポピュラーなボイストレーニングの一つです。
また、リップロールはウォーミングアップとして使うこともできます。
どこでも気軽に出来るため、本番前に舞台裏で行えば喉や体の調整をすることが可能です♩
リップロールの3つのメリット
リップロールを練習することには、次のようなメリットがあります。
呼吸が安定する
リップロールは、呼気(吐く息)で唇を振動させるトレーニングです。
唇を震わせる過程で、呼吸筋が強化し、安定した呼吸を身につけることができます。
また、リップロールは呼吸のリズムを整える練習にもなります♩
このリズム感を身につけることで、歌唱中でもブレス(息継ぎ)のタイミングが自然と取れるようになります。
音程・ピッチが良くなる
声の高さは、声帯の伸縮により変化します。
声帯が縦に伸びることで声は高くなり、縮むことで声は低くなります。
リップロールで様々な高さの音程を歌うことは、声帯を伸縮させるための筋肉(輪状甲状筋・甲状披裂筋など)のバランス調整に役立ちます。
リップロールは声帯を適切に動かすためのエクササイズです♩
声帯が柔軟に動くようになると、音程やピッチがよくなります。
地声と裏声の切り替えがスムーズになる
地声の時に声帯はほとんど閉じ、裏声の場合は声帯の一部が開いている状態です。
適切なリップロールのトレーニングには、声帯を開閉させるための、筋肉のバランスを調整する効果があります。
換声点を行き来するメロディや、音階(スケール)をリップロールで歌うことで、地声と裏声の切り替えは滑らかになります◎
※地声と裏声の切り替わりのポイントを「換声点」・「チェンジ」と呼びます。
リップロールのやり方・練習方法(音源付き)
次の①〜③のステップでコツを掴み、④⑤で練習してみましょう。
ぜひ音源にあわせてやってみてくださいね。
ステップ1:唇を閉じる
上下の唇を軽く閉じます。
唇の間に隙間があきすぎていたり、強く閉じていると振動しないため、唇の力は抜きます。
ステップ2:息のみで唇を振動させる
深く息を吸って、吐きます。
息の強さは、均一に吐きましょう♩
唇がプルプルと震えたら、息を吐く長さを徐々に伸ばしていきます。
ステップ3:声をのせる
唇を振動させながら声を出します。
色々な高さの声を出し、一番自然に声が出せる高さで、リップロールの感覚を掴みます。
唇を振動させながら声を出すことに慣れてきたら、同じ高さをキープして、長さを徐々に伸ばしていきましょう。
ステップ4:グリスアップ・グリスダウン
グリスアップ・ダウンとは発声可能な最低音〜最高音までを滑らかに繋ぎ、発声するトレーニング方法です。
リップロールでグリスアップ・ダウンをします。
①グリスアップの例
②グリスダウンの例
※音域は個人差があるため、音源と全く同じ高さじゃなくてOKです。
換声点(地声と裏声が切り替わるポイント)を滑らかに繋げることを意識してみましょう。
ステップ5:音階を歌う
リップロールで音の階段(スケール)を歌います。
スケール練習をすると、正しい音程で歌う力が身につきます。
また、音感もよくなります。
スケール練習
※A〜Cまでのメジャースケール、音域はA3〜C5です。
音源のテンポを変えたい場合には、右端の三つに並んだ点々を押して、再生速度を変えてくださいね◎
できない・続かない場合の原因と改善策
リップロールができない、うまく続かない場合の原因と改善策は以下の通りです。
唇が乾燥している
唇が乾いているとリップロールはやりづらくなります。
リップクリームや軽く唇を保湿すると、唇は乾いているときより振動しやすくなります。
リップクリームがない場合には、飲み水などで軽く唇を湿らせても大丈夫です◎
唇が力んでいる・頬に空気が入っている
唇に力が入っていて、唇が横に伸びているとリップロールはやりづらくなります。
口の両側を指で押して唇をたゆませると、リップロールは続けやすくなります。
振動させる感覚が掴めてきたら、指の力を抜いて補助なしでもリップロールができるようにしていきましょう。
息を吐いたときに、頬に空気が入ってしまう方は、頬が膨らまないよう指の位置を調整してくださいね。
姿勢が悪い
姿勢が悪い場合には、息がスムーズに吐けずに唇の振動が止まりやすくなります。
呼吸を安定させるため、体の中心に1本の軸を意識して、首を立てましょう。
頭が体より前に出ていたり、上半身が不自然にそりかえっている場合には要注意です。
力んでいる
顔や上半身に無駄な力みがあると、リップロールはやりづらくなります。
どうしても力が入ってしまう場合には、以下の①②のストレッチをした後に、リップロールをお試しください。
①両手を頬に当てて円を描くように大きく内回しと外回し
②肩を上げてすくめた後、脱力してストンと下す
吐く息の量が適切じゃない
吐く息が弱いと唇は振動しません。
唇が振動しない場合には、お腹から息をしっかり吐けているか確認してくださいね◎
また、吐く息が強すぎると均一な量で息を吐きづづけることが難しく、振動時間が短くなるケースもあります。
長く唇を震えさせられる、適切な息の強さを探ってみましょう。
リップロールが全くできない場合のコツ
【できない・続かない場合の原因と改善策】を試したがやはり唇が震えないという方は、「Pu」の発音からのアプローチでお試しください。
「Pu」は、唇の圧力で息を一瞬せき止めることによって生まれる発音です。
この圧力を利用して唇を振動させます♩
①ゆっくり「Pu」と発音して、唇に圧力を感じます。
②唇の圧力を利用して、吐く息で唇をぷるんと回すようにイメージして「Pu」と発音します。
一瞬でも唇が振動したら、次は一定の息の量を吐いて、音を伸ばせるようにしてみてくださいね。
リップロールで歌が上手くなった生徒さんの話
生徒さんの中には、リップロールが全くできないところから、コツコツ練習を重ねることで出来るようになった方がたくさんいらっしゃいます。
60代後半の方が1年かけて、出来るようになったケースも!!!
最初は上手くできていなかった方も、リップロールを練習する過程で呼吸や音程が安定し、歌がどんどん上達していきました。
もし今はできない・効果がわからない場合にも、過度に落ち込んだり投げ出さず、地道にトレーニングを続けていくことが大切です。